富山のホタルイカは、富山湾の春のシンボルの一つです。
真っ暗な夜の富山湾で、たくさんのホタルイカが青白く発光する様子は、他の地域では見られない、とても幻想的な光景です。
このホタルイカは、日本各地でも生息しているところがあり、深海約200~600mあたりで活動していますが、海岸近くまでやってくるのは全国でも富山県だけです。
この富山湾のホタルイカは、春先の3~5月ごろにかけて産卵のために海岸近くまでやってきます。
ホタルイカの寿命は約一年なので、この時期に生まれたホタルイカが大きくなって、一年後に同じ場所に帰ってきて産卵して一生を終えます。
このホタルイカの産卵場所としては、富山県滑川市が有名で、漁獲量も多いです。
そのため、この滑川市の産業・観光にはホタルイカが大きく関わっています。
ところで、この「ホタルイカ」という名前は、文字通りホタルのように青白く光ることからつけられていますが、古くから富山では「コイカ」や「マツイカ」と呼ばれていました。
しかし、明治38年に東京帝国大学理科大学(現在の東京大学理学部)の渡瀬庄三郎博士が、発光する生物の研究を進めている中で「ホタルイカ」と名前をつけたことから、こちらの名前が広く使われるようになりました。
これが日本におけるホタルイカ研究の始まりで、その後、様々な研究がされていますが、この100年以上も前の渡瀬博士の研究が大変詳しかったので、ホタルイカの基本的な情報はこの時点ですでにかなり確立されています。
ただ、ホタルイカ自体は有名ですが、その生態についてわかっていることは、意外と少なくて、実際のところホタルイカは、まだまだ謎が多く、不思議な生物なのです。
「富山県のさかな」として、「ぶり」「白えび」「ホタルイカ」の3つが指定されていますが、キャッチフレーズは、ぶりが「富山湾の王者」、白えびが「富山湾の宝石」というのに対し、謎が多いホタルイカは「富山湾の神秘」とされています。